毛球症…「もうきゅうしょう」と読みます。これは猫にとっては割と一般的な病気です。今回は猫の毛球症とはどのような病気か、予防方法や治療方法を解説していきます。
毛球症とはどのような病気?
毛球とは…毛同士が絡まり合って大きくっていったもので、「ヘアボール」「トリコベアゾール」などとも言われます。
猫が自分の体をペロペロと舐めている姿を、見かけたことがあるのではないでしょうか?その行為のことを毛づくろい(グルーミング)と呼びます。
猫は毛づくろいをしている際に、無意識に毛を飲み込んでしまい、その毛が体内に入っていきます。小さな毛球であれば便に混じって排泄されますが、毛球が胃でどんどん拡大していき行き場を失ってしまうと、先に進むことができなくなるほか、胃や腸に刺激を与える要因となります。
毛球症とは、飲み込んだ毛をうまく体外に排出できず、胃や腸などの消化器官の中に止まってしまった状態のことをいいます。
毛球症になりやすい猫とは?
長毛種の猫
毛球症は特に長毛種の猫に多く見られます。毛づくろいの際に大量の毛を飲み込んでしまい、胃の中に蓄積されて毛球を形成しやすいためです。
特にきれい好きな猫の場合には毛づくろいの頻度が多くなるため、多くの毛を飲み込んでしまうリスクがあり、飲み込む量が増えれば増えるほど体内で毛球が形成されやすくなります。

長くてサラサラの自慢の毛~🎵
高齢の猫
猫は高齢になると運動をしなくなり胃腸の働きが衰えていったり、食欲が低下して便秘になりやすくなるため、飲み込んだ毛をスムーズに便として排出することができなくなっていきます。
そのため、若い猫と比べると高齢の猫の場合には、毛球症になりやすい傾向があるのです。

人間も猫も
年は取りたくないねー
毛球症は短毛種でもなる可能性はある
短毛種の猫は毛球症にならない、という認識の方もいるかもしれませんが、自分自身の毛を飲み込むだけではなく、他の猫の毛を飲み込むことによっても発症をします。
長毛種と多頭飼いをしている場合には、アログルーミングを通じて毛を飲み込んで毛球症を発症する可能性もあるのです。

仲良し~💗
毛球症の症状
毛球症になるとさまざまな症状があらわれます。「毛を飲み込むだけで?」と思うかもしれませんが、場合によってはかなり重篤な状態になる可能性があることを理解しておきましょう。
嘔吐
毛球症の代表的な症状が嘔吐です。
毛球が胃などに蓄積されることで、身体が自然と毛球を排出しようとする反応が起こるために、猫は嘔吐をします。
1回吐き出すだけですっきりすることがほとんどで、1カ月~数か月に1度程度の頻度であれば心配はいりませんが、何回も繰り返すようであれば治療が必要になってきます。猫が一度嘔吐した際には、その後の経過をしっかりと観察しておきましょう。

うぇー、気持ち悪い…
食欲不振
胃などに毛球があることで空腹を感じなくなり、食欲不振になってしまう場合があります。
食事の量が普段と比べて少なかったり、急に全く食べなかったりした場合には、毛球症の可能性を疑い獣医に相談をしましょう。

ごはん食べたくない…
便秘症・腸閉塞
毛球が胃を通過して腸に入り込み、そこで詰まることにより便秘症を引き起こします。トイレ内に便がない場合には毛球症が原因となっている可能性もあります。
特に小腸は長く細い器官であるため、毛球が小腸まで進んだ場合に詰まってしまうことが多くあり、この状態が長期化すると腸閉塞を起こす危険性があります。
腸閉塞とは…腸の一部が詰まることによって食べ物や水分が正常に流れなくなり、強い腹部の痛み、激しい嘔吐、次第に食欲がなくなっていく病気です。
腹膜炎
腸閉塞がさらに進行すると、毛球が詰まっている部分の血行が悪化し、腸管に穴が空いて腹膜炎を起こしてしまいます。猫にとって腹膜炎は治療も大変になり、非常に危険な状態です。

苦しいよー
毛球症の予防法
毛球症を予防するためには、以下のような対策が有効です。
定期的なブラッシング
猫の毛を定期的にブラッシングすることで、毛が絡まるのを防ぎ毛球の形成を減らせることができます。詳しくは以下の記事を読んでみてください。
毛球ができずらいキャットフードを与える
食物繊維を適度に配合した毛球症に特化したキャットフードを与えることで、毛球の形成を抑えることができます。
サプリメントを使う
飲み込んでしまった毛球を、スムーズに排泄できることを目的としたサプリメントを与えることも効果的です。油脂を含んだチューブタイプのものがあり、手軽に与えることができます。
ストレスにならない環境を作る
ストレスのたまる環境になると毛づくろいの回数が多くなる猫もいます。毛づくろいの回数が多くなればなるほど、毛を飲み込んでしまう可能性も増えるため、猫にとってストレスのたまらない快適な環境を作り、毛づくろいが過剰にならないようにしてあげることも大切です。

リラックス~
毛球症になったときの治療方法は?
獣医による治療が必要な場合には投薬治療と手術などの外科的な治療の2種類があります。
投薬治療
毛球症の治療は、毛球を排出しやすくするために投薬治療を行うことが一般的で、嘔吐が激しい場合は吐き気止めの服用をする場合もあります。
内服治療で済む場合の費用は、数千円程度になります。

薬で治るといいな~
手術
身体の中で毛球が拡大してしまった場合は、吐くことができないことがあり、その場合には内視鏡で摘出するか開腹手術によって胃から毛球を取り出すことになります。
毛球の場所や大きさによって内視鏡手術か開腹手術にするかを決定しますが、どちらの場合も全身麻酔、入院を必要とするために猫にとってはかなりの負担となります。
費用は手術方法や動物病院によって差はありますが、20,000~100,000円とかなり高額になります。

えぇー!?
手術ですかー…?
まとめ
毛球症は、猫にとって非常に一般的な健康問題ですが、場合によっては重篤な状態になる可能性もあります。
日頃より定期的なブラッシングをするなど、適切な予防策を講じることで、リスクを大幅に減少させることができますので猫の健康に配慮した生活を心がけましょう。
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