『全国犬猫飼育実態調査』(引用:ペットフード協会)によると、飼育している猫に避妊・去勢手術を実施する割合は78.8%にもなります。
避妊・去勢手術を決断する飼い主はとても多く、術後の生活は、飼い主にとっても猫にとっても、これまでとは少し違ったものとなります。とくに…
避妊・去勢手術後の猫は、とても太りやすくなります!
食事管理の仕方を間違えると、数週間で猫は丸々と太ってしまうため、手術後の食事の管理はとても重要になります。
今回の記事では、避妊・去勢手術後の猫はなぜ太りやすくなるのか、また、肥満にならないためのキャットフードの選び方について詳しく解説をします。
猫が避妊・去勢手術後に太る理由
猫が避妊・去勢手術をすると、なぜ太りやすくなるのでしょうか?主な理由は3つあります。
エネルギーの必要量が変化する
性ホルモンの分泌がなくなるため、発情をするのに必要だったエネルギーが必要なくなり、カロリー消費量は約30%減少します。
もともと高カロリーのフードを食べていたのであれば、同じ物を同じ量与え続けるだけで必ず太っていきます。
食欲が増える
性ホルモンは食欲を抑えたり、代謝を助ける働きがあるので、手術後に性ホルモンの分泌がなくなることで食欲は約20%増加します。
食欲が増すことで必要以上に食べてしまったり、代謝が悪くなるため、必然的に体重は増えやすくなります。
運動量が減少する
手術後、穏やかな性格になる場合があり、特にオスの場合に多く見られる変化です。
これは男性ホルモンの分泌が減ったことで、メスを探し回ったり、狩りをするというオスとしての本能が弱まるため動かなくなる傾向があり、そのために穏やかな性格になったと感じます。
動かなくなるので当然消費カロリーが減少し、体重が増加しやすくなるのです。
避妊・去勢手術後のキャットフート変更の重要性

手術後の猫は代謝や食欲が変わることで体重は増えやすくなる一方、体力を回復するために栄養が必要となります。この時期は適切なキャットフードを選び、体重を管理しながら体の回復を助け、健康を維持するようにしましょう。
子猫用から避妊・去勢後用のキャットフードに切り替える
避妊・去勢手術は生後半年~1年以内に行うことが多いので、この頃与えているキャットフードの種類は「子猫用」と書かれているものではないでしょうか?
手術後の猫はカロリー消費が30%減少し、食欲は20%増加します。
子猫用キャットフードを同じ量与え続けていると、数週間で太るため、この時期に「子猫用」から「避妊・去勢後用」のキャットフードへの切り替えを検討しましょう。
「子猫用」と「避妊・去勢後用」のキャットフードにはどのような違いがあるのでしょうか?
子猫用キャットフードの特徴
子猫は成長期にあたるため、身体の発育に必要な栄養素が豊富に含まれているフードが必要になります。
子猫用キャットフードには、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルがバランスよく配合されており、成長を促進するための栄養が強化されています。
分かりやすく言うと、子猫用はカロリーがたっぷりです。
避妊・去勢後用キャットフードの特徴
避妊・去勢後用キャットフードは、カロリーが控えめで、肥満を防ぐための工夫がされています。
満腹感を得やすくするための食物繊維が含まれていることが多く、また、尿路の健康を考慮した成分も配合されているものもあります。
手術後の猫は尿路結石のリスクが高まるため、pHバランスを調整する成分が含まれていることで健康面への配慮も期待できます。
二つのキャットフードの比較
子猫用には、成長に必要な高タンパク質・高脂肪の成分が多く含まれていますが、避妊・去勢後用は、これらの成分が抑えられ、代わりに低カロリーでバランスの取れた栄養が含まれています。
【タンパク質・脂肪の比較】
子猫用 | 避妊・去勢後用 | |
タンパク質 | 30~40% | 25~30% |
脂肪 | 20~25% | 10~15% |
このように、栄養成分のバランスに違いがあるため、猫のライフステージに応じたキャットフード選びは重要です。
食事の与える回数を変える
成長期の子猫の場合は、エネルギーを必要とするため、頻繁に食事を摂取することが重要です。そのため1日数回に分けて与えることが推奨されています。
一方、避妊・去勢手術後の猫は、過剰なカロリー摂取を防ぎ健康的な体重を維持するために、食事の回数を減らし、1日2回の定期的な食事が推奨されます。
キャットフード切り替えにかける日数
手術後すぐにキャットフードを変えるべきかというと、決してそうではありません。
猫は変化に対してストレスを感じる動物のため、いきなりキャットフードを変更しても全く食べない場合がほとんどです。
また、いきなり全部を新しいキャットフードに切り替えると、胃腸の負担になり体調を崩す原因にもなるため、なるべく時間をかけてゆっくり切り替えていくことが賢明です。
1日目は現在のフード90%に新しいフード10%の割合で与えて、2日目は80%に20%、3日目は70%に30%と、1日ごとに現在のフードを10%減らし、新しいフードを10%増やしていきましょう。
10日~14日ほどの時間をかけて徐々に新しいキャットフードに切り替えるのが理想です。
我が家の猫は、新しいキャットフードを全く食べてくれなかったため、最初は数粒から始め、1カ月ほどかけて切り替えができました。
「新しいキャットフードは全然食べない・・・」と不安になることがあるかもしれませんが、どこかの時点で必ず食べてくれますので、諦めず気長にやりましょう。
キャットフードのあげすぎには注意
キャットフードが完全に切り替わると、与えたものを一気に食べるようになります。
などと、優しい飼い主であれば考えてしまい、フードを追加してあげたくなります。
しかし、それをすると猫は確実に太っていきます。
キャットフードごと、体重に応じた1日の食事量の目安がパッケージに書かれていますので、それを守り適正な量を与えるようにしてください。
まとめ
猫の避妊・去勢手術後は、食事の管理が非常に重要です。
猫の肥満は、人間同様に糖尿病や関節炎、呼吸器不全など、さまざまな病気につながる可能性があります。
手術後の猫が元気に回復し、快適な生活を送れるように、しっかりとケアしてあげましょう。
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