「猫のチャームポイントと言えば」という質問に対して、「耳」と答える人は多いでしょう?
ピンッと立っていたりピクピク動いていたりしてとても可愛らしい猫の耳。
しかし猫の耳は可愛いだけが取り柄ではありません!ものすごく優れた能力があります。ここでは猫の耳について、4つの代表的な役割を紹介します。
音を聞き取る(聴覚)
耳の役割として、音を聞き取るということは一番大切な役割です。
可聴周波数範囲
ネコは高周波の音を聞き取ることができ、ネズミなどの小動物の鳴き声も察知することが可能です。猫と人間の聞き取ることが可能な周波数を比較してみましょう。

周波数って何なのかな?
周波数とは…音は「空気の振動」でできていて、その振動の速さを「周波数(Hz:ヘルツ)」で表します。
猫は人間の4倍くらいの周波数を聞くことができるので、ネズミの鳴き声は人間には聞こえないくらいの高い周波数ですが、猫にはバッチリ聞こえています。

人間には聞こえない
家電から出る高い音も聞こえているよー
小さな音も聞き取れる
猫は小さな音にも非常に敏感で、かなり小さな音であったとしても聞き取ることができると言われています。
たとえば、人間が聞こえないほどの獲物が動く「カサっ」という音にもすぐに反応をしたり、我が家の猫は自宅2階でくつろいでいるときに、私が1階で餌の袋をあけると走って降りてきます。

猫の耳は人間の5倍くらいは聞こえます!
聴力が優れている陸上動物ランキング
猫がどのくらい聴力が優れているのかを、「陸上動物のランキング」で表してみました。
このランキングは「聴覚の精度」「周波数範囲」「方向感知能力」などを総合評価したものです。
- コウモリ
- 猫
- 犬
- ゾウ
- フクロウ
- キツネ
- シカ
- 馬
- ハイエナ
- プレーリードッグ
- 「高音」「低温」「音の方向」などに特化した動物もいて、何に優れているかによって順位は変わってはきます。
- 海洋動物(イルカ・クジラなど)を含めると、さらに桁違いの聴力の持ち主がいますが、ここでは陸上動物に特化したため除外しました。

コウモリは獲物の位置・形・距離を
音で正確に把握できるよー
ぶっちぎりの聴覚能力を持っています!
このランキングをみると猫が陸上動物の中でも、優れた聴力を持っていることが分かると思います。
ちなみに人間の聴力を同じ基準で比較すると、トップ10に入ることは難しく15~20位くらいが妥当な順位です。
音の方向や位置を判断する
猫の耳は、音の出ている方向や距離をかなり高精度に把握でき、20m先でネズミがカサカサ動いた音も聞き分けられるほどです。どうしてそんなに優れた方向感覚を持っているのでしょうか?
耳を別々に動かせる
猫は耳の筋肉が発達しているため、左右の耳を独立して動かすことができ、音のする方向を正確にキャッチして位置や距離を立体的にとらえることができます。
猫の耳をよく観察すると、左右それぞれの耳が常に別々の動きをしています。

常に何かの音を聞き取っているよー
立体的な耳の構造
三角形の耳の形が、まるでパラボラアンテナみたいになっていて、音を集めやすい形になっています。
さらに耳の内側にあるヒダが音を反射させ、どこから音が来たのが分かるようにもなっています。
0.05秒以内の時間差を判断できる
猫の耳はとても敏感で、右と左の耳に届くわずかな時間差(0.05秒以下)を感じ取って、「右から来た音だな」「少し後ろからだ」と判断をすることもできます。

0.05秒って凄すぎる~
上下の位置も分かる
猫の耳は前後・左右だけじゃなく、上下方向の音も判別することも可能です。
例えば鳥の鳴き声や、上にいる敵・獲物の気配もすぐに察知することができます。
感情表現の手段
猫は言葉を話さない代わりに、耳・目・しっぽなど体全体で感情を表現します。耳の動きは感情のサインになるため、よく観察をすることで猫の気分を読み取ることができます。
耳が前を向いてピンと立っている
興味・警戒・集中
窓の外から鳥の鳴き声や車の音が聞こえたときなど、新しいものや音に興味津々になっていたり、物音や動きを察知して様子をうかがっている時にこの形になります。

何の音だろー?
耳が横に倒れている(イカ耳)
怒り・警戒
いわゆる「イカ耳」と呼ばれる状態のことです。
ゆっくり居眠りをしている時に、撫でられすぎたり構われすぎてイライラしたり、他の猫が自分のテリトリーに入って来た時に警戒をしたり威嚇をしたときの耳の状態です。
耳だけではなく、シッポをバシバシ振る、本気で噛んだり爪を立てる、「シャー」という声を出して威嚇するような変化があるため、猫がイライラしたり怒っている時は比較的分かりやすいです。

腹立つーー!
にゃーーー
少し横を向いている
安心・リラックス
お気に入りの場所や日が当たる暖かい場所でウトウトしていたり、飼い主のそばでのんびりしている時、顎の下や首回りを優しくなでられたりした時には安心・リラックスした気持ちなり、耳は横を向きます。
安心・リラックスしている時には、喉をゴロゴロ鳴らしたり、シッポをゆっくり動かしたり、仰向けに寝転んだりするような行動も見られます。

はぁー、落ち着くー
横に広がって、ペタンと倒れている
恐怖・不安
知らない人が家の中に入ってきた時や、掃除機や雷などの大きな音が突然聞こえた時、強引にキャリーケースに入れられた時、飼い主に怒られた時などで怖がっていたり、ストレスを感じているサインとして、耳を倒します。
同時に身を低くして後ずさりをしたり、物陰に隠れたりするような行動も見られる場合があります。

怖いよ…
片方の耳だけを動かす/クルクル動かす
警戒・注意
新しい家具が家に来た時、聞いたことのない音を耳にした時、引っ越しをしたり他の人の家に遊びに連れていかれた時などには、周囲の気配に反応して耳だけを動かして情報収集をします。
この時には、シッポをゆっくりふったり、その場から動かずに黙って観察をしていたり、ヒゲが前方にピンと向くような反応も同時に見られます。
平衡感覚を保つ
猫の耳の奥には、「内耳(ないじ)」という部分があり、そこにある三半規管(さんはんきかん)と前庭(ぜんてい)という器官が平衡感覚をコントロールしています。
三半規管とは?
三半規管は、身体の回転や傾き、動きを感じとるセンサーのような役割をしてくれ、ジャンプ中や落下中でも、頭の向きを感知して正しい姿勢に身体を捻る動きにつなげてくれます。
三半規管がないと、バランスが取れなくなったり、ふらついたりしやすくなります。

猫や鳥は三半規管が特に優れているため
バランス感覚がものすごく良いよ!
前庭
前庭とは、三半規管とセットになり「今、自分の体がどんな姿勢か」「どちらに動いているのか」を感じ取る平衡感覚の中心的な器官です。
猫の前庭はものすごく精度が良く、高い所を歩くなどのバランス感覚が優れていたり、空中で身体を捻ってから足からちゃんと着地できるのも、前庭で重力や傾きを瞬時に判断することができるためです。
まとめ
猫の耳は見た目の可愛さだけではなく、機能・感情・個性ぜんぶが詰まったとても面白いパーツです。逆に言うと耳の健康が損なわれると、さまざまな障害が出てきて生活に大きな支障をきたすこともあります。
耳の役割を理解し健康が維持できるように日々観察をしてあげましょう!
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